[社会]仕組み・手続き(申請・届出)・内容証明郵便など

日本の社会の仕組みや行政手続き等の方法・仕方・手順などを取り扱います。


解除―分類―法定解除―要件―履行遅滞の場合


はじめに

解除権は、契約の相手方の債務不履行を原因として発生します。

ただし、この債務不履行には、次の3つの種類があります。

  1. 履行遅滞
  2. 履行不能
  3. 不完全履行

そのため、契約解除するための具体的な要件は、この債務不履行の種類によって、それぞれ異なってきます。

解除(法定解除)をするための要件

このページでは、履行遅滞により解除権が発生するための要件についてまとめています。

履行遅滞場合解除の要件

履行遅滞を原因として解除権が発生するためには、次の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 債務者の履行遅滞
  2. 債権者による相当の期間を定めた催告
  3. 債務者が催告期間内に履行しないこと

つまり、履行遅滞があった場合契約解除は次のような流れになります。

債務者の履行遅滞→履行の催告→それでも履行しない→契約解除

民法
履行遅滞等による解除権
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約解除をすることができる。

1.債務者の履行遅滞

まず、債務者の責に帰すべき事由による履行遅滞があることが必要です。

これは、民法415条の履行遅滞の要件と同じです。

2.債権者による相当の期間を定めた催告

履行遅滞により契約解除するには、相当の期間を定めた催告をすることが必要です。

もちろん、この場合、口頭ではなく、文書(催告書)を内容証明郵便にして郵送します。

ここにいう「相当の期間」とは、事例にもよりますが、具体的には、2~3日くらいであると解されています。

ただし、実務上は、5日から10日くらいの猶予期間を与えている場合も多いようです。

「相当の期間を定めた催告」を要求する趣旨・目的

民法が、債務者に履行遅滞があっても、すぐに契約解除できるとはしないで、「相当の期間を定めた催告」をすることを要求した趣旨は、できる限り、契約の拘束力を維持するという見地から、債務者に再度履行の機会を与えるため、とされています。

「相当の期間を定めた催告」に関する論点

この「相当の期間を定めた催告」については、さまざまな実務的な論点があります。

相当期間を定めない催告効力は?

民法541条の趣旨は,相当期間の明示に重点があるのではなく、催告によって債務者に最の履行の機会を与える点にあります。

したがって、催告で期間を示していない場合でも、催告、客観的に相当な期間が経過したのに、債務者が履行しなければ、有効に解除することができます。

催告解除意思表示を同に行うことはできないか?

契約の相手方が債務を履行しない場合は、催告をし(催告文書を内容証明郵便で送る)、それでも債務者が履行しなければ、またあらためて、解除意思表示(具体的には、契約解除通知書を内容証明郵便で送る)をするというのが原則です。

しかし、催告の通知書と契約解除通知書の2通を出すのは、やはり手間がかかります。

そこで、判例・通説は、催告の通知書と、相当期間を徒過した場合はあらためて解除意思表示をしなくても当然に解除する旨の契約解除通知書を1通ですますことも有効であると解しています。

このパターンの契約解除通知書のテンプレートは次のサイトのページからダウンロードできます。よろしければ、ご利用・ご参考にしてください。

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3.債務者が催告期間内に履行しないこと



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